CASE:日産とホンダの経営統合の背景
1. 次世代自動車(CASE)の波
2. テスラと中国企業の躍進
3. 日本が抱える課題
4.ハイブリッドの成功がEVの遅れにつながった?
2024年、日産とホンダが経営統合の協議を進めているというニュースが報じられた。これは、自動車業界の大変革期において、日本メーカーが生き残るための戦略的な動きとされる。背景には以下のような要因がある。
1. 次世代自動車(CASE)の波
• CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)は、今後の自動車業界を大きく変える概念であり、特にEV(電気自動車)と自動運転の分野での競争が激化している。
• 日本企業は伝統的にエンジン技術を強みとしてきたが、EVや自動運転ではソフトウェア(AI等)開発力が重要となり、日本勢は遅れを取っている。
2. テスラと中国企業の躍進
• テスラの成功は、従来の自動車メーカーとは異なるビジネスモデルにある。
• ソフトウェア中心の開発(OTAアップデートで車の性能を向上)
• 巨大なバッテリー工場(ギガファクトリー)を持ち、バッテリーコストを削減
• 高いブランド力とマーケティング戦略
• 中国EVメーカーの成長
• BYDやNIOなど、中国企業はEVの量産化と価格競争力で世界を席巻している。
• 中国政府のEV優遇政策、補助金制度、バッテリー技術の進化が後押し。
• バッテリーサプライチェーンを自国で確保し、コスト競争力がある。
3. 日本が抱える課題
• EVシフトの遅れ:日本メーカーは長年ハイブリッド(HV)に注力しすぎた結果、EVへの投資が遅れた。
• ソフトウェア開発力の弱さ:テスラや中国メーカーはソフトウェアを強みにしているが、日本はハードウェア中心の開発文化が根強い。
• 自動運転・ロボタクシーの遅れ:
• 米国ではWaymo、Cruiseが本格的にロボタクシーを展開。
• 中国でもBaidu(百度)の「Apollo Go」が実用化。
• 日本は規制が厳しく、開発も進んでいない。
4.ハイブリッドの成功がEVの遅れにつながった?
結論から言えば、日本メーカーはハイブリッドの成功があまりに大きすぎて、EV投資が遅れたといえる。
• トヨタのハイブリッド成功(プリウスなど)が「EVはまだ先」との判断を生んだ。
• EVではなく、水素(FCV)にも投資したが、市場はEV中心に動いた。
• 日本はエンジン技術の蓄積が強すぎて、EVシフトの決断が遅れた。
結果として、EVのコストダウンやバッテリー技術の進化に出遅れ、今になって巻き返しを図る状況になっている。日産とホンダの統合も、こうした危機感から生まれた動きといえる。
以上
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